朝方まで雨を降らせていた分厚い雲がゆっくりと東へ流れてゆく。
その間から山肌の木々が見え隠れしている。
僕が試釣場所に選んだのは、一番リラックスできる青宇治橋の下。
突然、ヤブの中から釣り師が現われた。
「ダメだ、一匹もいねぇ」
「雨で仕事がなくなったから来てみたけど、この辺わかんねーもんなぁ」と欠けた前歯を食いしばって地団駄をふんでいる。
「林道でライトが点けっぱなしの車を見たけど、八戸ナンバーの・・・」と僕が知らせると、
「やベー、俺んだ!」と一目散に走って行った。
さっそく手作りスプーンをキャストしてみる。
ゆらりと水中を漂う姿は弱った魚に見えなくもない。
早巻きや逆引きをしてみると、すぐに回転してしまって使い物にはならない。
ところが、アップストリームにキャストした場合には、クネクネとした実に良い動きをする。
もう少し本体の幅を狭く、そして板を厚くすれば逆流にも耐え得るスプーンが出来上がるだろう。
その後、3投目で良型が追ってきた。
ユラユラと泳ぐスプーンに興味を示している。
鼻先でスプーンの匂いをかぐように、まるで誘導ミサイルのようにピタリと追ってくる。
ロッドの先で少しだけアクションを与えてみた。
スプーンはヒラヒラと体勢を崩し、その瞬間に魚は去ってしまった。
どう釣ればいいのだろう?!
僕はスピナーから渓流ルアーを始め、長い間ミノーばかりをキャストしている。
スプーンについてのテクニックはまるで乏しい。
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