しばらく釣り上がると深い落ち込みを見つけた。
一面に広がる白泡の下で何かが動いた。
這いつくばって確認すると、尺を超えるであろう巨大魚が悠々と泳いでいる。
ここでヤツを仕留めれば、シーズン最終日を華々しく飾れるはずだ。
ロッドを握る手にも力が入る。
ところがどっこい、1投目は真横に飛んだ。
気を取り直して投げた2投目は落ち込みのかなり手前、しかもうまく泳がない。
どうやら着水と同時にフックがラインに絡んでしまったようだ。
次こそはと意気込んで投げたら、ミノーが木の枝に掛かってしまった。
指でつまんで外そうとしたら、ミノーのすぐ横に芋虫がいる。
もう最悪だ。
その後何回キャストしても、僕のミノーに巨大魚が食いつくことなどなかったのである。
二の足林道手前にある堰、プールの右サイドにミノーを落とす。
すると黒い影が、着水地点とは反対側にサッと逃げた。
そこで今度は、魚の逃げた方向、つまり向かって左サイドにキャストしてみる。
ブルブルっと来た!
ミノーを避けた魚なので、まさか食ってくるとは思わなかった。
右手から伝わる魚信の感触は身体がとろけるくらい気持ちいい。
浅瀬に寄せると、丸々と太ったヤマメであった。
おそらく卵を抱えているのだろう。
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