実績のあるルアーほど連続して使われることが多い。
同じように、ヒット経験のあるフィールドには何度も足を運んでしまう。
僕が選んだのは先日良い思いをした早戸川、もしかしたらまた複数釣果があるかも知れない。
フラットな早瀬へキャスト、そのままスローリトリーブ。
流れゆく落ち葉をかわしながら僕の相棒が足元に戻ってくる。
それを数回繰り返した後、沈み石の前でテールを踊らせると黒い影が襲ってきた。
良型のヤマメがしぶきを上げながら抵抗し、少しずつこちらに引き寄せられてくる。
この瞬間が一番心地よい。
フックやミノーを作ることは僕にとってかなりの負担だ。
しかし、すべてはこの感動があるからこそ乗り越えられるのである。
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その後、残念ながら釣果を見ることなく布川へ移動。
中津川合流付近にある大きな溜り、そこには数多くの稚魚が群れていた。
3センチほどの孵化後間もないものから、7センチ前後の幼ヤマメまで団体で泳ぎ回っている。
ミノーを投げてみるとワーっと全員が追ってきた。
このまま誰にも獲られることなく、来シーズンには成長した姿が見られるだろうか。
林道から大きな声が聞こえる。
若者が複数、崖から降りてきた。
一人がBBQセットを抱え、他の数人は渓流竿を手にしている。
ラインには派手な目印がいくつも付けられていた。
男から声をかけられる。
「釣れましたか?」
失礼だが、見た目以上に紳士的なようである。
キャップには真新しい遊漁券が結び付けられ川風になびいていた。
「僕も来たばかりですよ」
と言い返すとさっさと川上へ歩き出す。
僕は人と交わるのが少しだけ苦手だ。
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大洞キャンプ場まで釣り上がったが一尾も出ない。
すべて釣りきられてしまったのか。
入渓してからトゥイッチを連発していたが、それをやめてみる。
着水後にゆっくりとタダ巻きで引いてくる。
すると、石の下から魚が飛び出しミノーを食った。
プルプルプル!
体長14センチ、かわいいイワナである。
どうやらこの川の魚たちは、僕のトゥイッチに脅えていたようだ。
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通らずまで来て小イワナ2尾という釣果に失望する。
「ふぅ」小さく溜息をつき、そのまま川を下ることに決めた。
戻る途中で例の溜りを覗いてみる。
稚魚たちは相変わらず楽しそうに群れていた。
「あの若い釣り師たち、幼い魚を残してくれた・・・」
釣果が続かなくても、大物に出会えなくても、繰り返し訪れてしまう川もある。
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